Siiibo IRプラットフォーム「参考金利」機能――投資家ユーザ様の集合知を可視化
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お読みいただきありがとうございます。
Siiibo証券という会社でCEOを務めている小村と申します。
Siiibo証券は、「webでの私募」を活用することで、シンプルで分かりやすい金融商品である「社債」の投資・発行プラットフォームを運営するネット証券会社(第一種金融商品取引業者)です。
今回の記事ではSiiibo IRプラットフォームの機能「参考金利」の算出方法について詳細を解説いたします。読み物と言うよりは主にユーザ様に向けた仕様説明のような位置づけの記事ではありますが、弊社ミッションにも掲げる「透明性」を重視する観点から公表しております。
概要
本機能は、希望条件データから算出される企業間類似度に基づく、投資家ユーザ様の集合知を可視化した参考値です。個社毎に値は自動計算され、Siiibo証券はその妥当性評価や分析等を一切行っておりません。
したがって、例えば企業が実際に社債を募集することとなった場合に、発行審査の中で適正性の判断が一定なされている金利水準等とは異なるものとなります。
また、本機能はあくまで投資家ユーザ様の集合知の可視化、知識の蓄積をより分かりやすく「見える化」することが目的なので、ユーザ様に納得いただけるロジックに改善していきたいと考えております。ご意見・ご要望等あればご連絡いただけますと大変ありがたく存じます。
算出の流れ
まず、各企業において、投資家ユーザ毎の具体的な金利を指定した条件(すなわちフォロー条件以外。以下、指定金利条件)を抽出しています。このとき、金額・年限の情報は用いておりません。これはデータ数の不足や、金利ほど明確なビューが反映されているデータではないといった観点から、現時点での集合知形成に不適と判断したためです。
次に、投資家ユーザ毎に、各企業へ入力した指定金利条件が平均から何シグマ(標準偏差)乖離しているかによって階層分けをしています。現在は適度に各階層にデータが分散するよう、1シグマ毎に7階層に分けております。
これらを基に、企業間の類似度の指標にはJaccard係数を用いました。
ある2企業において、指定金利条件を入力しているユニークユーザ数を和集合とし、そのうち2企業を同じ階層、つまり近い信用力の水準と判断しているユーザ数を積集合としています。上記和集合の要素数を、上記積集合の要素数で割ったものがJaccard係数に該当し、Jaccard係数が大きいほど両集合の類似度は高いとみなしています。
結論として、各企業の参考金利は、その企業との類似度上位10社の各社の平均金利を類似度で重み付けした金利としました。
このとき、平均金利とはその企業に入力されているすべての指定金利条件の調和平均で、重み付けに用いる類似度は正規化(最小値0~最大値1にスケーリング)をしています。
調和平均を用いている理由は、個人投資家の多いユーザ層において、各企業から得るリターンの絶対額が銘柄分散における一定の目安となっているため、単位金額のリターンを得るのに必要と考える投資額の平均を取ることが、実感に近い代表値を算出する上で最も適していると考えるためです。
「類似度を考慮せずとも、この平均金利がまさにユーザの考える金利水準で、集合知そのものではないか」という見方もできますが、当該企業に入力された条件が少ない、或いは大きく分散している場合等に、「類似企業に入力されている条件」を示すことで入力する希望条件を考える一助になれば、という主旨に基づく機能となります。
以上の手順による「参考金利」を「投資家の条件一覧」の画面で表示しており、およそ月に一度の頻度で更新しております。
おわりに
本記事では、ユーザ様のご理解の一助となるべく、Siiibo IRプラットフォーム上で表示される「参考金利」の算出方法を解説いたしました。
口座開設済みの投資家ユーザ様等でさらに詳しくお知りになりたい方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せフォームよりご質問ください。