インカムゲインとは? キャピタルゲインとの違いとそれぞれの代表例
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インカムゲインとは資産保有によって得られる継続的な収益のこと
インカムゲイン(Income Gain)とは、資産を保有することで継続的に得られる収益を指します。身近な例としては預金が代表的です。銀行など金融機関に現金を預けると、定期的に利息を受け取ることができ、それは預金口座に資金がある限り続きます。
このように、インカムゲインは資産を保持しながら利益を得られるため、継続的・長期的に資産形成できることが大きな特徴です。
キャピタルゲインとは資産売却時の譲渡益のこと
キャピタルゲイン(Capital Gain)とは、投資をした株式などの資産を譲渡(売却)した際に得られる利益を指します。つまり、購入時と売却時の価格差によって生じる差益です。資産を手放した時に得られるのが、キャピタルゲインです。
インカムゲインの特質と例
上記でご紹介したように、インカムゲインとキャピタルゲインは投資により得られる利益という点では同じですが、その特徴は大きく異なります。
この項からは2つの利益の特徴について、代表例を挙げながら詳しく紹介します。
まずはインカムゲインから解説します。
インカムゲインは安定した収益が期待できる
インカムゲインのメリットは、安定した収益が期待できるという点です。
資産を保有している限り長期的に利益が得られ、短期的な市場の値動きに一喜一憂する必要がありません。
ただし、利益や元本が保証されているわけではありません。不動産投資であれば物件の空室や資産価値の低下、社債であれば発行企業の倒産など、さまざまな要因により損失が生じる場合もあります。
インカムゲインのリターンはキャピタルゲインに比べると小さい
インカムゲインは安定した収益を中長期間に渡って積み重ねていく性質を持つため、
短期的な視点で見ると、売却によって即時性のある利益を得るキャピタルゲインよりもリターンが小さい傾向にあります。
①インカムゲインの例~債券~
インカムゲインの例として代表的なのが債券です。債券は国や企業等の発行体に資金を貸す代わりに定期的に利息を受け取ります。あらかじめ定められた満期日を迎えると、貸付金額が返済される仕組みです。
元本は確実に保証されたものではなく、発行体の状況によってはデフォルト(債務不履行)となる恐れがある点には注意が必要です。
また、債券が発行される際に決まる利率は、発行体の総合的な信用リスクによって異なり、信用リスクが高い、すなわち信用度が低いほど、高く設定される傾向にあります。
②インカムゲインの例~不動産~
不動産の所有による家賃収入もインカムゲインの代表例です。不動産は現物資産であるため急に価値が0になる可能性が低いこと、家賃相場は経済情勢に影響されづらいことから、安定した収入を期待できる投資手段です。
リスクとしては、入居者が入らず家賃収入が得られない空室リスク、経年劣化や需要低下による家賃下落リスクなどが挙げられます。
家賃収入は不動産所得として扱われますが、不動産運用にかかる費用や減価償却費を経費として差し引けるため、節税の効果を期待して不動産投資に取り組む人もいます。
キャピタルゲインの特質と例
続いて、キャピタルゲインの特徴と代表例について解説します。
キャピタルゲインは大きなリターンが期待できる
キャピタルゲインは市場の値動きに価格が左右されるため、それを上手く利用することで短期間に大きなリターンを得られる場合があります。
例えばFXでは数秒間~数分の間に売買を繰り返す「スキャルピング」という手法があり、短期間でも売買益を積み重ねることで多くの利益を得られる可能性があります。
キャピタルゲインの代表例といえる株式においても、市場の値動きにより株価が大きく変動し、中には、株価が10倍以上に急騰する「テンバガー」と呼ばれる銘柄もあります。
このように、短期間で大きな利益を生み出す可能性を期待できるのがキャピタルゲインの大きな魅力です。
キャピタルゲインは価格変動により大きな損失が生じうる
リターンと共に確認するべきリスクを見ていきましょう。
キャピタルゲインを得るための投資で最も注意したいのが「キャピタル・ロス」です。これは購入した資産が値下がりして、損失が生じてしまう状態を指します。特に値動きの激しいFXや暗号資産では、一夜にして資産を失ってしまう事態も起こりえます。
リスクとリターンの関係は表裏一体で、リターンが大きい金融商品は同等のリスクを抱えていることを忘れてはいけません。
①キャピタルゲインの例~株式~
キャピタルゲインの代表例としては株式が挙げられます。株式を購入し、値上がりしたタイミングで売却することで譲渡益を得ます。
株価の上昇を見込める株式を選定するためには、経済情勢や企業のトレンドを読み解く知識が必要と言えます。
また、上場廃止や倒産、株価の暴落などにより大きな損失が起こる可能性があるので、分散投資や長期にわたる投資計画により、リスクを軽減することが大切です。
また、株式投資は税制面で一律課税の対象となっており、同年の利益と損失を相殺する「損益通算」が可能です。
株式の売却で得られる譲渡益は20.315%※1の税率が課されますが、損失が出た場合はその年の他の利子や配当所得等と相殺できるのです。
例えば、同年に上場株式で30万円の損失、投資信託で50万円の利益を出した場合、損益通算により課税対象を20万円に抑えることが可能です。また、損失は3年に渡り繰越控除を受けられます※2。
※1 内訳:所得税15%、復興特別所得税0.315%(2037年12月31日まで)、地方税(住民税)5%
※2 損益通算、繰越控除を適用させるためには確定申告が必要です。
※詳細は必ず税理士にご確認ください。
②キャピタルゲインの例~FX、暗号資産投資~
FXや暗号資産もキャピタルゲインの代表例です。
いずれも「購入時と売却時の差額で利益を得る」という点は株式と同様です。
FXはさまざまな国の貨幣を、暗号資産投資はインターネット上でやりとりされる通貨(暗号通貨)を売買する取引です。
いずれも値動きの幅が大きく、短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、急激な価格変動により、元本割れすることもあります。
税制面では、FXの利益は国内口座の場合、株式と同様に一律課税ですが、仮想通貨は総合課税です。そのため給与などの他の所得額に加算され、累進課税により所得が多いほど課される所得税が多くなります。また、上場株式やFX(国内市場)とは異なり、損益通算や繰越控除はできません。
※詳細は必ず税理士にご確認ください。
インカムゲインとキャピタルゲインのどちらが有利?
インカムゲインとキャピタルゲインでは性質が大きく異なっており、双方にメリット、デメリットがあります。投資家自身の投資目的や必要とするリターンやリスクへの考え方などによって、組み合わせたり、使い分けることが重要です。以下がそれぞれの活用方法です。
インカムゲイン
- 中長期的に安定した利益を得たい
- リスクを抑えた投資をしたい
- 一時的な値動きに左右されにくい投資がしたい
キャピタルゲイン
- リスクを取ってでも大きなリターンを得たい
- 短期間で利益を得たい
- 値動きをこまめにチェックできる時間と知識がある
これらを把握した上で、投資の王道テクニックである分散投資の考え方に則り、インカムゲイン型投資商品とキャピタルゲイン型投資商品にそれぞれ投資を行うことを検討してみてください。リスクを軽減し安定したリターンを目指すことができるでしょう。
インカムゲインとキャピタルゲインの性質を理解して使い分けを
インカムゲインとキャピタルゲインの特徴や投資例について解説しました。どちらも投資手段ですが、収益を得る方法やリスク・リターンには大きな違いがあります。
その違いを理解したうえで、投資目的や投資にかけられる時間や手間、リスクの許容度などを考慮にいれながら、自分にあった投資スタイルを探してみましょう。