社債の公募債とは?その概要と私募債との違い
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社債の公募債とは多くの投資家から資金を募って発行する債券のこと
公募債とは、不特定多数の投資家へ公募を行い、多くの投資家から資金を募って発行する債券のことです。
公募債の発行には、社債管理者を設置することや有価証券届出書や有価証券報告書の提出義務など、様々なルールが設けられています。これは公募債は私募債と比べて社債権者となる人数が多く、権利関係が広範囲に及ぶことや投資家保護の観点などに由来しています。
公募債発行のためには厳しい規制条件を満たす必要があることから、公募債を発行するのは上場企業が主で、発行額は数百億~数千億円規模に及びます。
公募債と私募債の違い
公募債と私募債はどちらも同じ社債ですが、その発行条件は異なっています。
発行市場
公募債は市場に情報を公開して多くの投資家を募るのに対し、私募債は市場に情報公開はされず、個別に投資家へ連絡を取り、私募債の引受けをお願いする形が一般的です。
募集人数
募集人数は金融商品取引法によって定められており、公募債は不特定多数の投資家を募る一方で、私募債の募集人数は50人未満(49人まで)に限定されています。
譲渡制限
公募債には譲渡制限がありません。買い手がつけば、投資家は満期の償還を迎える前に債券を譲渡することも可能です。
一方私募債では、49人までと限定された募集人数の中には譲渡を受けた人も数えられる事から、購入時に譲渡制限が付いているケースが主流です。
有価証券報告書の提出義務
有価証券報告書には有価証券や発行企業に関する情報がまとめられており、金融商品取引法によって開示義務が定められています。
企業が公募債を発行するためには、有価証券報告書を提出することが義務付けられています。一方、私募債には有価証券報告書の提出義務はありません。
社債管理者の設置義務
公募債の発行には社債管理者の設置が義務付けられています。発行企業が債務不履行などに陥った際の社債権者への弁済の受領など、債券の管理がスムーズに行われるように必要な手続きを行う役割を果たします。
担うのは発行企業自身ではなく、銀行や信託会社など会社法で定められた者に限られています。また、各社債の金額が1億円以上である場合などは社債管理者の設置義務はありません。私募債には、社債管理者の設置義務はありません。
公募債についてまとめ
公募債とは市場に情報を開示し、不特定多数の投資家から資金を募って発行する債券のことです。企業が公募債を発行するためには、社債管理者の設置や有価証券報告書の提出義務など様々な規制があり、それらの諸条件を満たせる企業はおのずと大企業に限られます。
また、公募債と対になる私募債にも言及しました。社債発行の手続きには、「公募」と「私募」があることを理解すると、社債投資時の参考になるでしょう。
社債投資のメリット・デメリットはこちらの記事で紹介しています。